市場投入(GTM)とは、企業が製品やサービスを対象の顧客に届けるための計画と実行の全体を指します。市場の特定、購買者のセグメンテーション、製品のポジショニング、価格設定、チャネルの選定、需要創出、営業活動、顧客のオンボーディングまでが含まれます。GTMは一度きりのローンチ計画ではありません。市場の変化、製品の成熟、新しいチャネルの登場に合わせて見直し続ける、継続的な取り組みです。
GTMのアプローチを形づくる、相互に関連する判断
GTMのアプローチは、相互に関連する一連の判断から成り立っています。
市場と購買者の定義
まず企業が答えるべきは、誰が購買者なのか、どんな課題を解決するのか、そして自社のソリューションがなぜ適切なのか、という問いです。そのためには次の要素が必要です。
- 理想の顧客像(ICP): 製品を購入し、うまく活用できる可能性が最も高いアカウントを、企業属性と行動の面から描いたものです。
- 購買者ペルソナ: 購入の判断に影響を与える、または最終決定を下す個々の担当者について、その優先事項、課題、評価基準を整理したものです。
- 市場のセグメンテーション: 獲得できる市場全体を、業界、企業規模、地域、ユースケースなどのセグメントに分け、どこに注力するかを優先順位づけすることです。
ポジショニングとメッセージング
ポジショニングは、代替手段と比べて製品がどのように認識されるかを定めるものです。メッセージングは、そのポジショニングを、マーケティング、営業の会話、パートナーとのコミュニケーションで使う言葉に置き換えます。効果的なポジショニングは、次の3つの問いに答えます。自社の製品は誰のためのものか、何をするものか、そして購買者はなぜ関心を持つべきか。
チャネルの選定
GTM計画では、製品が購買者にどう届くかを明確にします。
- 直販: 自社の営業部隊が購買者にアプローチします。
- チャネルセールス(間接販売): パートナー(リセラー、ディストリビューター、エージェント)が製品を販売します。
- プロダクトレッド: 無料トライアル、フリーミアム、セルフサービスの購入を通じて、製品そのものが導入を後押しします。
- マーケットプレイス: 製品を第三者のマーケットプレイス(AWS Marketplace、Azure Marketplaceなど)に掲載し、そこで取引します。
- ハイブリッド: 上記の組み合わせです。セグメントごとに、異なるチャネルが担当します。
需要創出と営業の実行
チャネルが決まったら、GTM計画では、需要をどう生み出すか(コンテンツマーケティング、有料メディア、イベント、パートナーとの共同マーケティング)と、リードをどう商談に転換するか(営業プロセス、見込み客の評価基準、提案の方法論、価格設定と値引き)を定めます。間接チャネルでは、その範囲がパートナー育成(イネーブルメント)にも及びます。つまり、パートナーが効果的に販売できるよう、ツール、トレーニング、コンテンツを提供することです。
社内チームと外部パートナーの足並み
すべての製品上の判断は、最終的にGTMの実行によって試されます。強い製品でも、GTMの取り組みが弱ければ成果は上がりません。そこそこの製品でも、GTMがうまく実行されれば成果を出します。パートナーを通じて販売する企業にとって、GTMは特に重要です。販売の進め方をベンダーが完全には統制できないからです。パートナーの採用、トレーニング、インセンティブ付与、支援は、いずれもGTMの機能です。
GTMの影響は、次の点に表れます。
- 収益効率: よく設計されたGTMは、最も転換率の高いセグメントとチャネルにリソースを集中させ、販売・マーケティング費用1ドルあたりの売上を最大化します。
- スピード: GTMを効率よく実行する企業は、競合より速く売上の節目に到達し、市場での地位とパートナーの関心を獲得します。
- 整合性: GTMは、製品、マーケティング、営業、カスタマーサクセス、パートナーの各チームが足並みをそろえる場です。各機能のどこかが噛み合わなければ、成長を遅らせる摩擦が生じます。
- 拡張性: 適切なGTMモデルは、企業の成長とともにスケールします。パートナーやチャネルを組み込まない直販のみのGTMは、ARRが1000万ドルの段階では機能しても、1億ドルに達すると成長を支えられないことがあります。
GTMの取り組み、パートナー・レッド・グロースの実行、そして進化
セグメント別のGTMの取り組み
| 顧客セグメント | 典型的なGTMの取り組み | チャネルの役割 |
|---|---|---|
| エンタープライズ(従業員1,000人以上) | 直接の現場営業、SIerやグローバルSIer(GSI)との共同販売 | パートナーは導入、共同販売、影響力の面で貢献する |
| 中堅市場(従業員100〜1,000人) | インサイドセールス、パートナー・レッド・グロースの販売 | リセラーとVAR(Value Added Reseller)がほとんどの取引を担う |
| SMB(従業員100人未満) | プロダクトレッドの成長、Eコマース、パートナー・レッド・グロース | マネージドサービスプロバイダー、マーケットプレイス、セルフサービス |
| 開発者・技術購買者 | プロダクトレッド、コミュニティ主導 | テクノロジーパートナー、インテグレーション、マーケットプレイス |
パートナー・レッド・グロースに取り組む企業のGTM
パートナー・レッド・グロースのGTMには、直販のみのモデルにはない費用項目がまるごと加わります。採用、育成、パートナー経由の需要創出、インセンティブ管理には、いずれも専用の投資が必要です。
Unifyr でチャネルGTMを統合する方法パートナーが主要な売上チャネルである場合、GTM計画では次の追加の層を考慮しなければなりません。
- パートナー開拓: どのようなパートナーが適切か、そしてどう開拓するか。
- 育成: パートナーに、ポジショニング、製品、プロセスについてどうトレーニングするか。
- パートナー経由の需要創出: パートナーが成約につなげる需要を生むために、ベンダーがマーケティング施策をどう支援する(または自ら実施する)か。
- 共同販売: ベンダーの直販営業チームは、案件でどのようにパートナーと協働するか。
- インセンティブ設計: どのようなマージン構造、案件登録の特典、インセンティブプログラムが、パートナーの販売行動を動かすか。
- パートナーエクスペリエンス: パートナーポータルを通じて、どのようなツール、コンテンツ、サポートを提供するか。
進化するGTMモデル
GTMのアプローチは固定的なものではありません。よく見られる進化のパターンは次のとおりです。
- 直接から間接へ: スタートアップは直販から始め、自社の営業チームだけではカバーしきれなくなるとチャネルパートナーを加えます。
- 間接からマーケットプレイスへ: リセラー経由で販売しているベンダーが、セルフサービスでの調達を好む購買者に対応するため、クラウドマーケットプレイスの取り組みを加えます。
- 単一から複数の取り組みへ: ひとつのGTMの取り組み(たとえば、エンタープライズ向けの直接の現場営業)から始めた企業が、異なる取り組み(たとえば、SMB向けのプロダクトレッド成長)によって新しいセグメントに広がっていきます。
進化のたびに、チャネルの構成、インセンティブの仕組み、GTMを支える業務システムを見直す必要があります。