パートナー・レッド・グロース(チャネルの文脈でのPLGであり、プロダクト主導の成長とは別のものです)とは、新規顧客の獲得、案件の拡大、市場カバレッジの主な推進力をパートナーが担うゴートゥーマーケット戦略のことです。パートナーチャネルを直販の補助と位置づけるのではなく、パートナーの能力、リーチ、関係を軸に収益モデルを組み立てる考え方です。
パートナー・レッド・グロースのゴートゥーマーケットの構成要素
パートナー・レッド・グロースのモデルでは、ベンダーのGTM体制は、直販の人員を拡大するよりも、パートナーを支えることを軸に設計されます。その影響は、採用、報酬、製品のパッケージング、マーケティングへの投資にまで及びます。
主な構成要素は次のとおりです。
- パートナー起点の案件の流れ: 新規ビジネスのほとんど、あるいはすべてが、パートナーからの紹介、共同販売の取り組み、パートナー経由のリードから生まれます。ベンダーの直販チームがある場合でも、同じアカウントを奪い合うのではなく、支援の役割を担います。
- パートナー向けに設計された製品と価格: マージン、バンドルの選択肢、ライセンスモデルは、パートナーが利益を上げられるように組み立てられます。パートナーがベンダーの製品を基に事業を成り立たせられなければ、このモデルは成り立ちません。
- 共同のゴートゥーマーケット計画: ベンダーとパートナーが、ターゲットとするセグメント、テリトリー、キャンペーンを共同で定めます。ベンダーは、パートナーが直接使うマーケティング資産、需要創出のプログラム、営業担当者の育成(セールスイネーブルメント)ツールに投資します。
- パートナー指標による成果の測定: 売上の帰属、パートナーが創出したパイプライン(案件の見込み)、パートナーが影響した案件が、主要な業績指標になります。社内の販売目標は、あるとしても副次的なものになります。
パートナー・レッド・グロースの経済的な論理
パートナー・レッド・グロースの魅力は、本質的に経済的なものです。パートナーは既存の顧客との関係、地域市場の知見、業界の専門性をもたらします。ベンダーがこれらを直接採用によって再現しようとすれば、何年もの歳月と多額の資金が必要になるでしょう。市場が細分化している場合、規制の厳しい業界の場合、あるいは現地でのプレゼンスが重要な地域に進出する場合には、パートナーは「あると便利な存在」ではなく、不可欠な存在であることがよくあります。
パートナー・レッド・グロースは、拡大のユニットエコノミクスも変えます。すでに50社の顧客関係を持つ新しいパートナーを迎えることは、営業担当者を採用して、その人が戦力になるまでの6〜12か月を待つこととはまったく異なります。パートナー育成(イネーブルメント)にはたしかにコストがかかりますが、そのコストは人員の増加とは異なるかたちで拡大していきます。
リスクは依存です。売上の80%以上をパートナーに頼るベンダーは、パートナーの離脱、競合による引き抜き、パートナー戦略の変化にさらされます。このリスクを管理するには、インセンティブの仕組みだけでなく、パートナーエクスペリエンスへの深い投資が必要です。
パートナー・レッド・グロース型組織の運営方法
パートナー・レッド・グロースを目指す組織には、一般に次のような運営上の特徴があります。
- パートナー担当者(PAM/CAM)が直販の担当者を上回る: 社内のチームは、独力で案件を成約させるよりも、パートナーを支えることに軸足を置いています。
- マーケティング予算はチャネル経由の施策を優先する: 共同マーケティングの資金、パートナー経由のマーケティング自動化(TCMA)、パートナーブランドのコンテンツが、ベンダーブランドによる需要創出よりも多くの投資を受けます。
- 製品ロードマップにパートナーの意見が反映される: パートナーはアドバイザリーボードに参加し、パッケージング、連携、価格に関するフィードバックが製品の判断を直接形づくります。
- 報酬が対立を生まない: 社内の営業チームは、パートナーが支援した案件に対しても報酬を受け取るため、チャネルパートナーのネットワークを迂回する動機がなくなります。
パートナー・レッド・グロースとエコシステム・レッド・グロースの違い
両戦略は重なり合いますが、対象の範囲が異なります。
| 観点 | パートナー・レッド・グロース | エコシステム・レッド・グロース |
|---|---|---|
| 主な売上の推進力 | 取引を行うパートナー(リセラー、MSP、紹介パートナー) | テクノロジーパートナー、連携、マーケットプレイスを含む、より広いエコシステム |
| 関係のモデル | ベンダーがパートナーの販売を可能にする | 複数のエコシステム参加者が相互の価値を生み出す |
| 指標 | パートナー経由の売上、パートナーのパイプライン | エコシステムが影響した売上、連携の採用状況、マーケットプレイスでの取引 |
| 典型的な採用者 | 確立されたチャネルプログラムを持つベンダー | プラットフォーム企業や、大規模な連携エコシステムを持つベンダー |
パートナー・レッド・グロースはチャネルに焦点を当てた特定の戦略であるのに対し、エコシステム・レッド・グロースは、取引を伴わないテクノロジーアライアンスやマーケットプレイスの力学まで含む、より広い関係を対象とします。企業は両方を同時に追求することもできますが、それぞれ異なる運用モデルと測定の枠組みが必要になります。