共創(共同イノベーション)は、2社以上の組織が、どれか1社だけでは効果的に構築できない新しい製品、機能、連携、ソリューションを共同で開発するパートナーシップモデルです。チャネルの文脈では、ベンダーとテクノロジーパートナー、SIer(システムインテグレーター)、またはISVが、共通の顧客に差別化された価値をもたらす開発作業で協力する形を取ることがほとんどです。
共創の形態と段階
共創は、標準的なベンダーとパートナーの関係を超えるものです。一方が製品を作り、もう一方が製品を販売または導入するのではなく、双方が新しいものを生み出すことに関わります。
共創の形態
- 製品の連携:2つのテクノロジー企業が自社プラットフォーム間のネイティブな連携を構築し、共通の顧客が手作業でのデータ移行やカスタム開発なしに両製品を併用できるようにします。
- 共同ソリューション:ベンダーとサービスパートナーが、特定の市場セグメント向けに、パッケージ化されたソリューション(製品、導入の方法論、業界固有の設定を組み合わせたもの)を開発します。
- APIとプラットフォームの拡張:パートナーが公開されているAPIとSDKを使い、ベンダーのプラットフォーム上にアプリケーションやモジュールを構築します。こうした拡張によって、プラットフォームの機能が新しいユースケースへと広がります。
- 業界特化型ソリューション:ベンダーと、深い業界知見を持つパートナーが、特定の業界のワークフロー、コンプライアンス要件、データモデルに合わせたソリューションを共同で開発します。
共創のプロセス
共創の取り組みはそれぞれ固有ですが、一般的には次のような段階を経て進みます。
- 機会の特定。双方は、両社の能力を組み合わせれば対応できる顧客ニーズや市場の空白を見極めます。
- 共同計画。チームは、スコープ、アーキテクチャ、リソースの投入計画、スケジュールを定めるとともに、知的財産(IP)の所有権と事業化の権利を取り決めます。
- 開発。両社のエンジニアリングリソースが協力してソリューションを構築します。共有の開発環境、定例の同期ミーティング、共同テストが含まれることもあります。
- 市場投入(GTM)のローンチ。共同ソリューションに、ポジショニング、価格、営業担当者の育成(セールスイネーブルメント)の資料をまとめます。双方がそれぞれのチャネルを通じて販売を推進します。
- 継続的な保守。両社の製品が進化し続けるにつれて、ソリューションにも継続的な投資が必要になります。共創は一度限りの成果物ではなく、継続的な依存関係を生み出します。
持続的な競争優位性の構築
共創は、競合他社が模倣しにくい差別化をもたらします。1社でも製品を作ることはできますが、2つの組織がそれぞれの専門知識を組み合わせれば、どちらか一方だけでは実現できないほど顧客ニーズに応えるソリューションを構築できます。
プラットフォーム型のビジネスモデルを持つベンダーにとって、共創はエコシステム成長の原動力です。パートナーが構築するすべての連携、拡張、共同ソリューションが、プラットフォームを顧客にとってより価値あるものにし、置き換えられにくくします。好循環が生まれます。連携が増えれば顧客が集まり、顧客が増えればパートナーが集まり、パートナーがさらに連携を構築するのです。
パートナーにとって、共創はベンダーとの関係を強め、同じパートナーエコシステム内の競合との差別化につながる独自のIPを生み出します。ベンダーと業界特化型ソリューションを共同開発したシステムインテグレーターは、一般的な導入パートナーには真似できない競争上の地位を築けます。
成功の条件と典型的な課題
共創がうまくいく条件
共創は、次の条件がそろったときに最もうまく機能します。
- 両社が補完的な技術能力を持っている(一方がプラットフォームを提供し、もう一方が業界または機能の専門知識を提供する)
- 共同ソリューションに対する明確な顧客需要のシグナルがある
- 両組織が専用のリソースを投入する(経営層のスポンサーシップだけでなく、実際のエンジニアリングと製品開発の時間を投じる)
- 開発が始まる前に、IPと商業条件を定めておく(開発後ではなく)
よくある課題
- 投資レベルの不一致:一方のパートナーが多額の投資をする一方で、もう一方の貢献がわずかだと、不満が生じて進捗が止まります。
- IPの所有権が不明確:パートナーシップが終了したとき、共同ソリューションは誰のものになるのか。事前の合意がないと、この問いは争いの種になります。
- 製品ロードマップの乖離:一方が製品の方向性を変えると、共同ソリューションが動かなくなったり、意味を失ったりすることがあります。足並みをそろえ続けるには、経営層同士の定期的な対話が必要です。
- 市場投入の実行:ソリューションを構築することは課題の半分にすぎず、両社がそれを積極的に販売しなければなりません。一方が共同ソリューションを副次的なプロジェクトとして扱うと、市場への浸透は遅くなります。
共創と共同投資の比較
共創は、製品、連携、ソリューションといった新しいものを共に構築することに焦点を当てます。共同投資は、共同のマーケティング費用、共同の営業リソース、相互のビジネス開発の取り組みなど、共同の活動を資金面から支えることに焦点を当てます。両者はしばしば一緒に行われます(共創を行う組織は、市場投入でも共同投資を行うことが少なくありません)が、パートナーシップの異なる側面を扱うものです。