共同投資は、ベンダーとチャネルパートナーが、共通のビジネス目標に向けて共有の財務リソースを拠出するパートナーシップの取り決めです。一方が活動の資金を出し、もう一方が活動を実行するのではなく、双方が(金銭または同等のリソースで)投資し、双方に利益をもたらす成果を追求します。
共同投資のモデル
共同投資は、パートナーシップの性質、関係の成熟度、追求するビジネス目標によって、さまざまな形を取ります。
一般的な共同投資のモデル
- 共同のマーケティング費用:ベンダーとパートナーが、需要創出キャンペーンの費用をそれぞれ分担します。たとえば、ベンダーがメディアの掲載費を負担し、パートナーが地域イベントの運営費と人員を負担する、といった形です。
- 共同の人件費:ベンダーとパートナーが、両社にまたがって働く専任の営業担当者や技術担当者の費用を共同で負担します。案件数が共有の人材を正当化するような戦略的パートナーシップでよく見られます。
- ソリューション開発:両社がエンジニアリングの時間と予算を投じて、共同の製品、連携、または業界向けソリューションを構築します。
- 市場参入:新たな地域や業界に進出する際、ベンダーとパートナーが、市場調査、ローカライズ、初期の需要創出の費用を分担します。
- カスタマーサクセス:双方が販売後のリソース(カスタマーサクセスマネージャー、テクニカルアカウントマネージャー)の費用を負担し、共同の取引先を守り、拡大します。
共同投資のプロセス
共同投資は、通常、共同のビジネスプランを通じて正式に定められます。プロセスは次の流れで進みます。
- 計画。双方が共通の機会を特定し、ビジネスケースについて合意します。目標、活動、成功指標、予算の拠出額を定めます。
- コミットメント。各当事者が、具体的な投資(現金、リソース、またはその両方)を確約します。コミットメントは、共同のビジネスプランまたはパートナーシップ契約に文書化します。
- 実行。双方が、計画における自らの役割を果たします。定期的なチェックインで足並みをそろえ、途中での軌道修正も行います。
- 測定。合意された指標に照らして成果を追跡します。双方がROIを確認し、投資を継続するか、拡大するか、縮小するかを決めます。
財務リスクの共有によるコミットメント
共同投資は、パートナーシップの双方のコミットメントを示し、強化します。
ベンダーがパートナーにMDF(販促支援金)を提供するだけなら、関係は取引的なものにとどまります。ベンダーは支払い、パートナーは実行し、結果にはばらつきが生じます。双方が投資すると、力学が変わります。パートナーは財務面での当事者意識を持つため、より慎重に実行する傾向があります。ベンダーはパートナーに対する説明責任を負うため、資金を出したあとのフォローが不十分になるという、よくあるパターンを防げます。
共同投資によって、どちらか一方だけでは資金を出さないような活動も可能になります。たとえば、5万ドルの現地イベントは、ベンダーにとってもパートナーにとっても単独では費用対効果が見合わないかもしれません。しかし50対50で分担すれば、双方にとって実行可能になります。
戦略的パートナーシップでは、共同投資が競争上の差別化要因になりえます。パートナーは、自社と一緒に投資してくれるベンダーを優先する傾向があります。そうしたベンダーは、関係から収益を引き出すことだけに集中しているのではなく、パートナーの成功に力を注いでいることを示せるからです。
ティアとプランによる共同投資の構成
共同投資のティア
ベンダーは、パートナーティアごとに共同投資の機会を設定し、最も戦略的なパートナーに対して最も深いコミットメントを用意することがよくあります。
| パートナーティア | 共同投資のレベル | 典型的な活動 |
|---|---|---|
| スタンダード | 低い、またはなし | 標準のMDF申請、セルフサービスのマーケティングアセット |
| アドバンスト | 中程度 | 共有のキャンペーン予算、共同イベントのスポンサーシップ |
| ストラテジック / エリート | 高い | 共同の人件費、ソリューション開発費の拠出、専用のマーケティングプログラム |
共同のビジネスプランニング
共同投資は、共同ビジネスプラン(JBP)に紐づけたときに最もよく機能します。JBPでは次の事項を定めます。
- 一定期間(通常12か月)におけるパートナーシップの売上目標
- 各当事者が行う具体的な投資
- 投資が資金を提供する活動
- 成功を判断する指標
- レビューの頻度(四半期ごとが標準)
JBPがなければ、共同投資は場当たり的になり、測定も難しくなります。JBPがあれば、双方が意思決定と説明責任に関する共通の枠組みを持てます。
落とし穴
- 非対称なコミットメント:一方が他方よりはるかに多く投資すると、不満が生まれます。投資額が同じである必要はありませんが、各当事者が期待する利益に比例している必要があります。
- 成功基準があいまい:「ビジネスを成長させる」と合意しても、その合意は計画とは言えません。効果的な共同投資には、具体的で測定可能な目標が必要です。
- フォローアップの欠如:予算を約束するのは簡単ですが、計画を実行するのはより困難です。双方がコミットメントを果たすには、資金面だけでなく運用上のリソースも必要です。
共同投資とMDFの比較
MDFは、通常、一方向の資金移転です。ベンダーが、承認されたマーケティング活動のためにパートナーへ資金を提供します。共同投資は双方向です。双方がリソースを拠出します。MDFは、ティアと対象条件に基づいてパートナーが利用できるプログラム上の特典であるのに対し、共同投資は、共同のビジネスプランの一環としてベンダーと特定のパートナーの間で交渉される戦略的なコミットメントです。