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受注・失注分析

受注・失注分析とは、成約した案件と失注した案件を体系的に振り返り、受注・失注に至った要因を明らかにする取り組みです。「もっと安い方に決まった」といった営業担当者の経験談に頼るのではなく、複数のソースからデータを集め、案件の結果を左右する要因を根拠に基づいて把握します。チャネルパートナープログラムでは、この分析をパートナーが主体となった案件や、パートナーが影響した案件にも広げます。パートナーがどれだけ効果的に販売しているか、プログラムのどこを改善できるかが見えてくるからです。

根拠に基づくレビューの仕組みづくり

体系的な受注・失注分析は、一貫した手法に沿って進めます。

  1. 案件の選定。 成約したすべての案件を分析する必要はありません。多くの組織は代表的なサンプルを選びます。たとえば、規模の大きい受注案件、意外な失注案件、戦略的な取引先の案件、さまざまなパートナーの分類(セグメント)にまたがる案件などです。一定の規模を超える案件をすべて分析する組織もあります。
  2. データの収集。 情報は複数のソースから集めます。
    • CRMのデータ。 案件の規模、営業サイクルの長さ、関係する製品、特定できた競合、案件ステージの推移。
    • 営業担当者へのヒアリング。 担当者(またはパートナーの担当者)が、受注または失注した理由をどう見ているか、どのような懸念が出たか、営業プロセスがどう進んだかを説明します。
    • 顧客へのインタビュー。 顧客の声は、もっとも価値の高いインプットです。第三者の調査担当者(または案件の担当者以外の人)が見込み客や顧客に連絡し、意思決定の基準、ベンダーの評価方法、最終的な選択を後押しした要因を聞き取ります。顧客インタビューは、営業担当者の自己申告に潜むバイアスを減らします。
  3. 分析。 収集したデータをコード化し、パターンを分析します。よく使われる分類は次のとおりです。
    • 製品適合性(機能、能力、連携)
    • 価格と取引条件
    • 営業の実行力(対応の速さ、プロフェッショナルとしての振る舞い、ソリューションの訴求)
    • パートナーの能力(導入の専門性、業界知識)
    • 競合環境(特定の競合、差別化)
    • 関係性と信頼の要素
  4. 報告。 結果は、営業責任者、製品管理、マーケティング、チャネル担当チームに向けたレポートにまとめます。個々の案件の経緯よりも、繰り返し現れるテーマを浮き彫りにします。
  5. 改善へのアクション。 分析の目的は行動に移すことです。結果は、営業プロセスの改善、製品ロードマップの優先順位付け、価格の調整、パートナー育成(イネーブルメント)の更新、競合向けの訴求メッセージの見直しといった具体的な変更につなげます。

案件の結果の「なぜ」の解明

受注・失注分析は、出来事の直後にその場にいた人が記録した理由に頼っています。間接チャネルでは、理由を記録する人がパートナー企業の社員であることが多く、ここに分析の難しさがあります。

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受注・失注分析は、パイプライン(案件の見込み)の指標や売上レポートでは得られないもの、つまり案件の結果の「なぜ」を明らかにします。受注率が前四半期に5%下がったという事実は有用ですが、その原因が競合の特定機能の発表であったり、特定の地域のパートナーがデモに苦戦していることだと分かれば、初めて具体的な行動に移せます。

チャネルプログラムでは、受注・失注分析は次の点で特に価値があります。

  • パートナーの成績にはばらつきがある:受注率が大きく異なるパートナーがいます。受注・失注分析によって、その差がパートナーの能力によるものか、テリトリーの質、製品と市場の適合性、競合環境によるものかが見えてきます。この違いによって、取るべき施策が変わります。
  • ベンダー側の育成の不足が表面化する:パートナーが特定の競合に対して製品の価値を説明できず、一貫して負けているなら、問題はパートナーの努力ではなくベンダーによる育成にあります。受注・失注のデータから、トレーニングやツールへの投資先が分かります。
  • 製品へのフィードバックに根拠が生まれる:製品チームには機能の要望が絶えず寄せられます。実際の案件から得た受注・失注のデータは、その要望に説得力を与えます。「先四半期、見込み客3社が当社にない機能を求めたため、200万ドルのパイプラインを失った」という説明は、「パートナーから、あったら良いという意見があった」という説明よりも、はるかに説得力があります。

プログラムの設計と実行

受注・失注分析の取り組みを立ち上げる組織は、次の点を検討すべきです。

  • 第三者によるインタビュー:顧客は、案件に負けた(または勝った)ベンダーやパートナーよりも、中立の第三者に対して率直に意見を述べる傾向があります。失注した営業担当者は、顧客に失注理由を尋ねるのに最も適した人物とは限りません。
  • タイミング:決定から2〜4週間以内に顧客にインタビューします。時間が空きすぎると、顧客は自社の評価プロセスの詳細を忘れてしまいます。
  • 受注と失注のバランス:受注と失注の両方を分析します。多くの組織は失注だけに注目しがちですが、受注にも同じくらい重要なデータがあります。顧客がなぜ自社のソリューションを選んだのかを理解すれば、うまくいっている点を強化し、再現できます。
  • バイアスの管理:営業担当者は、失注の原因を価格のせいにし、受注は自分のスキルのおかげだと考えがちです。顧客インタビューと複数ソースからのデータ収集によって、このバイアスを相殺します。
  • パートナーへのフィードバック:関連する受注・失注の知見をパートナー全体に共有します。特定のデモの流れを実行しているパートナーの受注率が高いと分かれば、その知見を営業担当者の育成(セールスイネーブルメント)のベストプラクティスとして公開します。
  • 定期的な実施:1回の受注・失注調査は、ある時点のスナップショットにすぎません。分析を継続的に(少なくとも四半期ごとに)行えば、傾向が見えてきます。たとえば、競合が勢いを増しているか、新製品の投入によって受注率が改善しているかが分かります。傾向のデータは、一時点のレポートより価値があります。

受注・失注分析でよく見られる発見

分類よくある発見チャネル上の示唆
営業の実行力RFPへの回答が遅い提案ツールに関するパートナー育成
製品の不足主要なプラットフォームとの連携がない製品ロードマップへのインプット、テクノロジーアライアンスの検討
価格競合がより柔軟なライセンスを提供している価格モデルの見直し、パートナーのマージン調整
競合特定の競合が業界特有のユースケースで勝っているパートナー向けの競合バトルカード、業界に特化した営業体制
パートナーの能力大企業向けデモで求められる技術的な深さが足りない認定要件の見直し、ベンダーによるプリセールス支援

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