受注率は、営業案件のうち受注(成約)に至った案件の割合です。直販の営業チーム、個々のパートナー、チャネルパートナープログラム全体のどれに当てはめる場合も、営業の効果を評価するうえで最も基本的な指標の一つです。受注率が高ければ、営業組織がパイプライン(案件の見込み)を売上に結びつけられている割合が高いことを示します。一方、受注率が下がっている場合は、営業プロセス、競合環境、案件の選別のいずれかに問題がある可能性があります。
計算方法と一般的なバリエーション
基本の計算式は次のとおりです。
受注率 =(受注案件数 ÷ 終了案件数の合計)× 100
「終了案件数の合計」には、受注と失注の両方が含まれます。パイプラインに残っている案件(進行中の案件)は、結果がまだ確定していないため計算から除外します。
計算式には、次のようなバリエーションがあります。
- 全案件に対する受注率:失格や中止になった案件も分母に含める組織があります。この場合、数値は低くなりますが、案件の選別の効果を含めたファネル全体の転換率を表します。
- 競合別の受注率:特定の競合が登場した案件のうち、その競合に対して受注できた割合です。競合が特定された案件だけを対象に計算します。
- パートナー別の受注率:パートナーごとに区分した受注率です。各パートナーがパイプラインをどの程度受注に結びつけているかを、プログラム全体の基準値と比べて示します。
ベンチマーク
受注率は、業界、案件規模、営業の進め方、そして組織が「案件」をどう定義しているかによって大きく異なります。一般的な目安は次のとおりです。
| 状況 | 一般的な受注率 |
|---|---|
| インサイドセールス(小規模案件) | 20〜35% |
| ミッドマーケットの対面営業 | 25〜40% |
| エンタープライズ営業(大型案件) | 15〜30% |
| チャネルパートナー(全体) | 15〜35% |
組織間で直接比較することは信頼できません。案件の作成基準が異なるためです。見極めを経てから案件を作る会社は、初回接触の時点で案件を作る会社よりも受注率が高くなります。
受注率からわかるチャネルの健全性
受注率は、案件の選別を厳しくした場合にも、目標の水準を下げた場合にも上がります。受注率だけではこの二つを切り分けられないため、算出のもとになった案件数とあわせて見る必要があります。
Unifyrの受注率レポートを見る受注率は、パイプラインの規模と売上の結果を結びつける重要な指標です。パイプラインが1億ドルあるチャネルプログラムでも、受注率が25%の場合と15%の場合では、得られる売上が大きく異なります。受注率がわずかに改善するだけで、パイプラインを増やさなくても売上の成長に直結します。
チャネルの文脈では、受注率からいくつかの診断的な示唆が得られます。
- パートナーの効果:パートナー全体の受注率を比べると、高い割合で成約しているパートナーと苦戦しているパートナーが見えてきます。受注率が35%のパートナーと12%のパートナーでは、取り組み方が違います。その差の要因(営業スキル、取引先の質、技術的な専門性、ベンダーのサポート)を理解すれば、的を絞ったパートナー育成(イネーブルメント)につなげられます。
- プログラムの健全性:チャネル全体の受注率が下がり続けている場合は、競合の圧力、製品と市場の適合性の問題、パートナー育成の不足といった構造的な問題を示唆しています。上昇傾向であれば、プログラムへの投資が機能していることの裏付けになります。
- 案件の選別:受注率が極端に低い場合は、案件が早すぎる段階で、あるいは適切な選別をせずに作られていることがよくあります。パイプラインは大きく見えても、その大部分は成約しません。選別基準を改善すると受注率が上がり、パイプライン予測の信頼性も高まります。
- 営業サイクルとの整合:ステージ別の受注率を分析すると、案件がパイプラインのどこで脱落しているかが分かります。デモの段階以降での失注が多ければ、デモが効果を上げていない可能性があります。提案の段階で失注が集中していれば、価格や競合に対する訴求が問題かもしれません。
受注率を改善するためのアプローチ
受注率を改善するには、受注率を左右する要因を理解する必要があります。一般的なアプローチは次のとおりです。
- 選別の厳格さ:「適格な案件」の基準を厳しくすると、もともと成約の見込みが低かった案件を除外できます。その結果、受注率が上がり、営業の労力を本当に可能性のある案件に集中できます。
- 競合インテリジェンス:競合別の受注率から、どの競合局面が最も厳しいかが分かります。特定の競合に向けたバトルカード、競合デモ、反論対応のプレイブックを用意すれば、結果が改善します。
- パートナー育成:パートナーの受注率が直販に後れを取っている場合は、育成の取り組みを強化する必要があるかもしれません。よくある課題は、製品デモのスキル、反論への対応、取引の組み立て方です。
- 案件のサポート:大型案件や競合の激しい案件では、ベンダーによる共同販売の支援(プリセールスエンジニア、経営層のスポンサーシップ、PoC(概念実証)用のリソースなど)が、パートナーの成約の可能性を高められます。支援を受けた案件と受けなかったパートナー案件の受注率を比べれば、ベンダーの関与がもたらす効果を数字で示せます。
- ステージ別のコーチング:ステージ別の受注率を分析すると、案件が停滞したり失速したりする箇所が分かります。ステージごとの具体的なガイダンス(より良いディスカバリーの質問、より効果的なデモの型、より説得力のある提案テンプレート)を提供すれば、特定のつまずきどころに対処できます。
チャネルプログラム管理における受注率
チャネルマネージャーは、いくつかの単位で受注率を追跡すべきです。
- プログラム全体:チャネル全体の受注率を時系列で追うことは、チャネルセールスの健全性を示す最上位の指標になります。
- パートナーティア別:上位ティアのパートナーは、より高い受注率を示しているでしょうか。そうでなければ、ティアの基準が実際の販売能力と合っていない可能性があります。
- パートナー別:個々のパートナーの受注率から、学ぶべき成果を上げているパートナーと、支援が必要な苦戦中のパートナーを見分けられます。
- 製品別:製品ごとの受注率から、どの製品がチャネルを通じてよく売れ、どの製品が売れていないかが分かります。パートナーの受注率が低い製品は、育成の強化、価格の見直し、あるいはまったく別のチャネルでの販売方法が必要かもしれません。
- 案件の発生源別:パートナーが発掘した案件と、ベンダーから配布されたリードの受注率を比べると、チャネルが案件の発掘に強いのか、実行に強いのか(あるいはその両方なのか)が分かります。
受注率は、ほかの指標と組み合わせたときにもっとも役立ちます。受注率は高くてもパイプラインの規模が小さいパートナーは、成長していません。一方、受注率は低くても大きなパイプラインを持つパートナーは、非効率です。受注率、案件の進行速度、平均案件規模、パイプラインの規模を合わせて見ると、チャネルの販売実績の全体像が見えてきます。