ホワイトスペース分析は、自社が既存の顧客や市場に対して現在販売している製品(または対応している範囲)と、その顧客や市場が本来購入しうるものとのあいだにある差を明らかにする戦略的な分析です。ここでいう「ホワイトスペース」とは、まだ取り込めていない売上の余地を指します。たとえば、既存顧客にまだ提案していない製品、まだ対応できていない地域、まだアプローチできていない顧客セグメント、まだ活用されていない利用シーンなどが該当します。チャネルの現場では、この分析によって、どこでパートナーを開拓するか、どのパートナーに投資するか、どこで共同販売に力を入れるかを判断できます。
分析の範囲ごとの進め方
ホワイトスペース分析は、個別の顧客、テリトリー、パートナーのポートフォリオ、市場全体といった複数の単位で行えます。範囲によって細部は変わりますが、基本的な流れは共通しています。
- 提供価値の全体像を定義する。 自社が扱うすべての製品、サービス、ソリューションを洗い出します。顧客単位で見る場合は、規模、業種、技術環境から判断して、その顧客が購入しうる製品をすべて挙げます。
- 現在の浸透状況を把握する。 顧客(またはテリトリーやパートナー)がすでに購入しているものを整理します。データは通常、CRMの記録、受注履歴、パートナーからの取引報告から集めます。
- ギャップを特定する。 全体像と現在の浸透状況を突き合わせます。その差がホワイトスペースです。たとえば、顧客が自社のCRMは使っているものの、マーケティングオートメーションや分析機能は導入していない場合や、あるテリトリーに有望な見込み先が10社あるのに、パートナーが対応しているのは3社だけという場合が該当します。
- 優先順位を付ける。 ホワイトスペースには価値の差があります。売上の見込み、成約の可能性、戦略上の重要度、その機会を追えるパートナーがいるかどうかを基準に順位を付けます。
- 担当を決めて実行する。 優先度の高い機会を適切な担当に振り分けます。直販の営業担当、チャネルパートナー、あるいは共同チームのいずれかです。機会ごとに、具体的な次のアクション、期限、責任者を明記した行動計画を立てます。
ホワイトスペース分析が効率的な成長につながる理由
ホワイトスペース分析が問うのは、プログラムがどこで成果を上げているかではなく、どこで手が届いていないかです。手が届いていない部分は、活動実績をもとにしたレポートには表れません。
Unifyrで販売網の空白を把握する既存の取引関係のなかでの成長は、新規顧客を開拓するよりも効率的です。既存顧客に新しい製品を提案するほうが、同じ製品を新しい顧客に売るよりもコストが抑えられ、成約までの期間も短くなります。そのため、ホワイトスペース分析はチャネルパートナープログラムで次の目的に使われます。
- パートナー計画:共同事業計画の場で、ベンダーとパートナーはホワイトスペースのデータをもとに、アップセルやクロスセルを狙うべき顧客と、新たに開拓すべきセグメントを決めます。
- テリトリーの最適化:地域ごとに分析すると、ベンダーの対応が厚い地域と手薄な地域が見えてきます。地域ごとの分析結果はパートナー開拓の判断材料になります。大きなホワイトスペースがあるのに稼働しているパートナーがいない地域であれば、その地域でのパートナー開拓を優先すべきだと判断できます。
- 製品の浸透状況の把握:多製品を扱うベンダーは、導入済みの顧客基盤のなかでどの製品の浸透が不十分かを把握するために分析を使います。その知見は、製品マーケティング、パートナー育成(イネーブルメント)、インセンティブ施策の設計に生かされます。
- チャネル投資の配分:MDF(販促支援金)、共同販売のリソース、育成の取り組みは、最も価値の高いホワイトスペースに振り向けるべきです。分析をしないと、こうした投資は均等に配分されるか、パートナーの要望に応じて配られてしまい、最大の機会と合うことはまれです。
データの要件と実行の規律
効果的なホワイトスペース分析には、正確なデータと規律ある実行が欠かせません。
- データの品質:分析の精度は、その基になるデータに左右されます。取引先の情報が欠けていたり、製品の保有状況を把握していなかったり、パートナーの取引を最終顧客と結び付けていなかったりすると、ホワイトスペースの全体像は不正確になります。分析の前にデータを整備することが不可欠です。
- データソースの組み合わせ:全体像を描くには、CRMのデータ、ディストリビューターのPOSデータ、パートナーが報告するパイプライン(案件の見込み)、サードパーティの企業属性データを組み合わせることがよくあります。単一のソースでは全体は見えません。
- パートナーの関与:パートナーは、ベンダーが持っていない顧客基盤の情報を把握しています。分析にパートナーを巻き込み、関連するデータを共有してもらったり、意見を求めたりすると、社内だけで行うよりも良い結果が得られます。
- 定期的な実施:ホワイトスペースは固定されたものではありません。顧客は新しい製品を購入し、新たな競合が市場に参入し、パートナーは注力分野を変えます。分析を四半期ごと(少なくとも半期ごと)に行えば、データを最新の状態に保てます。
- 実行につながるアウトプット:分析の成果物を、共有フォルダに眠るスプレッドシートにしてはいけません。担当者と次のアクションが割り当てられた、優先順位付きの機会リストにし、チームのパイプライン管理のプロセスに組み込む必要があります。
顧客単位のホワイトスペース分析の例
| 製品 | 顧客A | 顧客B | 顧客C |
|---|---|---|---|
| コアプラットフォーム | 購入済み | 購入済み | 購入済み |
| 分析機能 | 購入済み | ホワイトスペース | 購入済み |
| マーケティングオートメーション | ホワイトスペース | ホワイトスペース | 購入済み |
| プロフェッショナルサービス | 購入済み | 購入済み | ホワイトスペース |
| プレミアムサポート | ホワイトスペース | 購入済み | ホワイトスペース |
この例では、「ホワイトスペース」と書かれた各セルが、具体的に取り組める機会を表しています。パートナーや顧客担当チームは、どの顧客が最も成約しやすいか、どの製品が最も大きな売上を見込めるかをもとに、優先順位を決められます。