共同バリュープロポジション(JVP)は、2つ以上の組織が共同で作るメッセージの枠組みです。組み合わせたソリューションが、どちらか単独の製品やサービスよりも顧客の課題をより的確に解決できる理由を説明します。顧客がそれぞれのベンダーから個別に購入した場合には得られない、パートナーシップならではの具体的な成果を定義するものです。
組み合わせたソリューションのストーリーづくり
共同バリュープロポジションを作るには、双方が個別の製品マーケティングを超えて、組み合わせが何をもたらすのかを言語化する必要があります。一般的には次の順序で進めます。
- 顧客の課題の共有。 両社は、共同で解決しようとしている購買側の課題について合意します。顧客の課題の共有が土台です。両社が異なるペルソナに対して異なる課題を解決しようとしていると、JVPは焦点を欠いたものになります。
- ギャップ分析。 各社は、自社が提供できるものと、どこに不足があるかを文書にまとめます。JVPは、パートナーAがパートナーBの提供内容の不足をどう補うか(その逆も含めて)を示すべきです。
- 成果の定義。 チームは、共同ソリューションがもたらす測定可能な成果を明記します。たとえば、導入の迅速化、総コストの削減、リスクの低減、独自開発が必要になるはずだった機能の利用などです。
- メッセージの作成。 顧客の課題、組み合わせたソリューション、定義した成果をつなぐストーリーを作り、そのストーリーを位置づけのステートメント、エレベーターピッチ、裏付けとなる根拠に落とし込みます。
- 検証。 JVPを営業チームで試し、可能であれば、組み合わせたソリューションをすでに購入した顧客にも試します。広く展開する前に、フィードバックを反映して改善します。
共通の位置づけによる案件の加速
共同バリュープロポジションは、JVPを書いていない人が届けても機能しなければなりません。パートナーの営業担当者が、誰の助けも借りずに論理を組み立て直せなければ、その提案はベンダーのスライドの中にしか存在しません。
Unifyr が共同での市場開拓をどう支援するかパートナーは、アライアンスが購買側にとってなぜ重要なのかを言語化するのに苦労することが少なくありません。JVPがなければ、両社の営業担当者はそれぞれの製品を売り込み、顧客が両者のつながりに気づいてくれることを期待しがちです。このやり方がうまくいくことは、ほとんどありません。
よく作られたJVPは、両社の営業チームに共通のストーリーを与え、どの購買側もいずれ抱く疑問に答える力を持たせます。その疑問とは、「1社を選ぶのでも、自社で作るのでもなく、なぜお二社の両方から買う必要があるのか」というものです。
JVPは、案件の検討期間を短縮する効果もあります。組み合わせた価値があらかじめ言語化され、ユースケースで裏付けられていれば、購買側は連携がうまく機能するかどうかの確認に費やす時間を減らし、自社の環境に合うかどうかの検討に時間を割けるようになります。
チャネルの責任者にとって、共同バリュープロポジションは、パートナーシップの質を見極める目安にもなります。2社が説得力のあるJVPを言語化できなければ、そのパートナーシップには、意味のあるパイプライン(案件の見込み)を生み出すための差別化が欠けている可能性があります。
パートナーシップの種類ごとの活用
共同バリュープロポジションは、複数の種類のパートナーシップで見られます。
- テクノロジー連携: 2社のソフトウェアベンダーが、それぞれ単独では解決できないワークフローを、自社のプラットフォーム同士でどう解決するかを説明します。たとえば、CRMベンダーと契約管理プラットフォームが、見積もりと契約締結の間の手作業による引き継ぎをなくすことで、営業サイクルを短縮できると位置づけるケースがあります。
- ベンダーとSIerのパートナーシップ: ベンダーとSIer(システムインテグレーター)が、SIerの導入手法とベンダーのプラットフォームを組み合わせたJVPを作ります。価値の中心は、価値実現までの時間の短縮と導入リスクの低減です。
- 共同マーケティングソリューション: 2社のベンダーが自社製品をまとめ、独自の位置づけを持つ名前付きのソリューションとして提供します。そのJVPが、このソリューションの中心的なメッセージになります。
- マーケットプレイスへの掲載: クラウドマーケットプレイスの商品では、2つの別々の製品ではなく、組み合わせたソリューションをひとつの商品として掲載する理由を説明するJVPが求められることがよくあります。
効果的なJVPの要素
| 要素 | 目的 |
|---|---|
| 対象となる購買側のペルソナ | JVPの対象を正確に定め、誰にでも当てはまるのに誰の心も動かさない曖昧なメッセージを防ぐ |
| 組み合わせた機能の説明 | 共同ソリューションが何をするのかを、具体的な言葉で説明する |
| 代替案との差別化 | 1社から買う場合や自社で作る場合、また競合するアライアンスと比べて、なぜこのパートナーシップのほうが顧客にとって有利なのかを説明する |
| 裏付けとなる根拠 | 主張する成果を検証する、顧客事例、ケーススタディ、パフォーマンスデータ |
| 定量化された成果 | 節約できた時間、削減できたコスト、増加した売上など、JVPに重みを与える具体的な指標 |
JVPと個別の価値提案の違い
個別の価値提案は、ひとつの製品が購買側にもたらすものを説明します。共同バリュープロポジションは、組み合わせが、どちらの製品も単独では生み出せないものをどう生むかを説明します。この違いは重要です。各製品の利点を並べ直しただけのJVPは、真の共同バリュープロポジションではなく、2つの提案を一緒に置いただけにすぎないからです。説得力のあるJVPは、創発的な価値、つまり統合やパートナーシップがあるからこそ生まれる成果を描きます。