販売後パートナーとは、主な価値の提供が初回の販売成立後に行われるチャネルパートナーのことです。多くのチャネル関係はパイプライン(案件の見込み)の創出や案件の成約に重点を置いていますが、販売後パートナーは、導入、オンボーディング、技術サポート、トレーニング、継続的な運用管理、カスタマーサクセスを専門としています。顧客が購入した製品やサービスの価値を、確実に実現させることが役割です。
引き渡しから継続的な運用管理まで
販売後パートナーが関わり始めるのは、顧客がベンダーの製品やサービスの導入を決めたものの、まだ実際には活用できていない段階です。関わりは通常、次の流れで進みます。
- 引き渡し。 販売を担当したパートナーまたはベンダーの直販チームが、プロジェクトの範囲、顧客の期待、技術要件、スケジュールを含めて、アカウントを販売後パートナーに引き継ぎます。
- 導入。 パートナーが顧客の環境にベンダーの製品を展開します。設定、データ移行、システム連携、カスタマイズ、ユーザー設定などを伴うことがあります。
- トレーニング。 パートナーが顧客のエンドユーザーと管理者にトレーニングを行い、製品を効果的に使いこなせるようにします。
- 稼働開始後のサポート。 導入直後の期間は、パートナーが手厚いサポートを提供し、問題の解決、質問への回答、安定稼働の確保に当たります。
- 継続的な運用管理。 マネージドサービスを提供するパートナーの場合、関係は稼働開始後も続きます。監視、アップデート、サポートチケットの対応、時間をかけた製品活用の最適化などを行います。
購入から価値の実現までのギャップの解消
購入から実際の活用までのギャップは、多くのテクノロジー投資が失敗する場所です。製品を購入したものの導入しなかった、あるいは導入が不十分に終わった顧客は、更新しません。そのため、販売後パートナーは顧客の維持と定期収益に直接貢献します。
ベンダーにとって、販売後パートナーは拡張性の課題を解決する手段です。ほとんどのベンダーは、すべての顧客に直接対応できるほどの導入・サポートチームを抱える余裕がありません。販売後パートナーは、人員を増やすことなく、ベンダーの提供能力を広げてくれます。
顧客にとっては、販売後パートナーがベンダー自身のサービスチームよりも良いカスタマーエクスペリエンスを提供することが少なくありません。パートナーは地理的にも関係性の面でも顧客に近く、顧客の業界や技術環境について深い知識を持っています。顧客は直接の取引先であるため、対応も迅速になりやすいのです。
販売後のパートナーシップは、更新や拡張にも影響します。顧客の環境を積極的に管理しているパートナーは、利用状況、満足度、未充足のニーズを直接把握できます。そのため、適切なタイミングでアップグレード、追加機能、導入規模の拡大を提案できる立場にあります。
販売後パートナーの一般的な種類
| パートナーの種類 | 販売後の注力領域 |
|---|---|
| 導入パートナー | プロジェクト型の展開:設定、連携、データ移行 |
| マネージドサービスプロバイダー(MSP) | 継続的な運用:監視、保守、サポート、最適化 |
| トレーニングパートナー | エンドユーザーと管理者へのトレーニング:教材、ワークショップ、パートナー認定の準備 |
| サポートパートナー | ヘルプデスクと技術サポート:チケット対応、トラブルシューティング、障害対応 |
| コンサルティングパートナー | アドバイザリーサービス:最適化、業務プロセスの再設計、変革管理 |
複数のカテゴリーにまたがって事業を行うパートナーもいます。例えば、SIerは、同じ顧客に対して導入、トレーニング、継続的なコンサルティングをまとめて担うことがあります。
販売後パートナーと販売前パートナーの違い
この違いは、顧客のライフサイクルのどの段階で、パートナーが最も大きな価値を生むかに関するものです。
販売前パートナーは、需要を創出し、案件を選別し、成約させます。主な指標は、パイプラインへの貢献、案件登録の件数、パートナー経由の売上やパートナーが影響した売上です。
販売後パートナーは、案件成立後に価値を提供します。主な指標は、導入成功率、価値実現までの時間、顧客満足度、更新率です。
多くのパートナーは販売の両面に関わりますが、大半は自社のビジネスモデルや能力に基づき、どちらか一方に大きく比重を置いています。この違いを理解すると、ベンダーは各グループに適したパートナー育成(イネーブルメント)、パートナーインセンティブ、エンゲージメントモデルを設計できます。
販売後パートナーのエコシステムの構築
効果的な販売後パートナーのエコシステムを築きたいベンダーは、次のガイドラインを検討するとよいでしょう。
- 販売後の能力を個別に認定する:販売のスキルと提供のスキルは別物です。案件の成約に長けたパートナーが、確実に導入するだけの技術的な深さを備えているとは限りません。販売前と販売後の活動を分けた認定トラックを設けることで、品質を確保できます。
- 販売前パートナーと販売後パートナーの間に紹介の経路を作る:販売を担当したパートナーが案件を成約させたら、引き継ぎ先として信頼できる導入パートナーが必要です。パートナーディレクトリや直接の紹介を通じてこうしたつながりを促すと、カスタマーエクスペリエンスが向上し、問題が起きたときに責任のなすりつけ合いも減ります。
- 販売後パートナーのインセンティブを顧客の成果に連動させる:プロジェクトの売上だけで販売後パートナーに報酬を支払うのではなく、顧客の採用率、満足度スコア、更新率に連動したインセンティブを検討してください。成果に連動したインセンティブにより、パートナーの経済的な利益と顧客の成功が一致します。
- 顧客の健全性データを共有する:販売後パートナーに、利用状況データ(テレメトリ)、サポートチケットの傾向、満足度データへのアクセスを提供すると、顧客がエスカレーションする前に先手を打って問題に対処できます。
- 販売後パートナーをパートナープログラムに含める:多くのパートナープログラムは販売活動を中心に設計されているため、提供を価値の源とするパートナーを意図せず除外してしまいがちです。販売後パートナーには、独自のプログラムトラックと、販売後の役割にふさわしい特典、表彰、昇格の基準が必要です。