パートナーの稼働化(パートナーアクティベーション)とは、新たに開拓したパートナーを、契約締結とオンボーディングが済んだ状態から、パイプライン(案件の見込み)を生み出し、案件を成約し、サービスを提供する状態へ移行させるプロセスです。パートナーオンボーディング(契約を締結し、ポータルへのアクセスを付与する段階)と、継続的なエンゲージメント(パートナーが安定して売上を生み出している段階)の間に位置します。パートナーライフサイクルのなかでも特に難易度が高く、多くのパートナーシップが停滞するのもこの段階です。
稼働化までのマイルストーン
新たに開拓したパートナーの稼働率は、一般に30〜50%です。稼働化を積極的に管理していないプログラムでは、稼働率が20%を下回ります。
Unifyrでパートナーの稼働化を管理する方法稼働化は単一の出来事ではなく、パートナーが取引を行える準備ができており、その意思もあることを総合的に示す一連のマイルストーンです。マイルストーンの内容はパートナーの種類やプログラムの構造によって異なりますが、稼働化までの一般的な経路は次のとおりです。
- 育成(イネーブルメント)の完了。 パートナーの営業担当者と技術担当者が、必須のトレーニングや認定を修了します。トレーニングと認定を通じて、顧客との会話で説得力を持てるだけの製品知識が身につきます。
- 最初のマーケティング活動。 パートナーが(単独または共同で)需要創出キャンペーンを実施する、イベントを開催する、または市場投入の意思を示すコンテンツを公開します。
- 最初の案件登録。 パートナーが、ベンダーの案件登録システムを通じて、適格な案件を申請します。
- 最初の成約。 パートナー経由、またはパートナーが影響した取引から売上が計上されます。
組織によっては、稼働化のマイルストーンのうち1つ(多くは最初の案件登録か最初の成約)に到達した時点を、稼働化と定義します。一方で、複数の指標を加重した複合スコアを使う組織もあります。
稼働化に失敗するコスト
稼働化を伴わない開拓は、無駄な投資になりかねません。パートナー契約の締結、ポータルアクセスの設定、オンボーディング資料の提供には、いずれも時間と費用がかかります。パートナーがパイプラインを一度も生み出さなければ、その投資は何も生みません。
稼働化のギャップは数値で把握できます。多くのパートナープログラムでは、開拓したパートナーの半数に満たない数しか、一度も案件を成約しません。つまり、実質的なパートナーエコシステムの規模は、締結した契約数から想定されるよりずっと小さいのです。稼働率を追跡し改善することで、プログラムリーダーはエコシステムの生産性を正確に把握できます。
休眠化のコストは、目に見える売上の損失だけにとどまりません。休眠パートナーは1社ごとに、開拓、オンボーディング、ポータルのプロビジョニング、パートナー担当者(PAM/CAM)の工数に対する埋没した投資を表しています。稼働率が50%のプログラムでは、開拓予算の半分が事実上無駄になっています。休眠化をコストセンターとして捉え、稼働パートナー1社あたりのコストをプログラム指標として追跡すると、開拓後の育成の優先順位が変わることがよくあります。
稼働化は、パートナーシップの方向性も左右します。最初の成果を早く上げたパートナーは、関わり続け、関係により多く投資する傾向があります。一方、オンボーディング後に数か月間も動きがないパートナーは、関係が完全に途切れる可能性がはるかに高くなります。
稼働化を改善する取り組み
「最初の案件」は、最も重要な分岐点です。参加から90日以内に最初の案件を登録したパートナーは、登録しなかったパートナーに比べ、1年後も稼働し続けている可能性が3〜4倍高くなります。この知見はプログラム設計の指針とすべきです。オンボーディングは、初期の勢いをつくるためであれば、ベンダー起点のリードを新規パートナーに回してでも、できるだけ早く最初の案件にたどり着けるように組み立てるべきです。
稼働化を改善するには、いくつかの領域にわたる計画的な取り組みが必要です。
最初の販売までの期間の短縮
パートナーが最初の案件を成約するまでに時間がかかるほど、関係を続けなくなる可能性が高まります。この期間を縮めるための施策には、次のようなものがあります。
- スターター案件: 規模が小さく、よくあるユースケースで、カスタマイズが最小限の、新規パートナーがすぐに成約できる低複雑度の案件を見極めます。
- 支援型の販売: 新規パートナーを、最初の数件の案件でパートナー担当者やオーバーレイ専門担当者とペアにします。ドキュメントを読むだけでなく、実際に手を動かしながら学んでもらうためです。
- パイプラインの種まき: 適格なリードを新規パートナーに渡し、ゼロからパイプラインを築くのではなく、すぐに取り組める案件を持ってもらいます。
稼働化の基準の明確化
パートナーは、「稼働」が何を意味するのかを知る必要があります。ベンダーが、パートナーを有効とみなす前に、認定の取得、案件の登録、共同マーケティングキャンペーンの実施を求めるのであれば、その期待はオンボーディングの段階で伝えるべきです。後になって気づかせるようなことがあってはなりません。
| 稼働化のマイルストーン | 一般的な期間 | 担当者 |
|---|---|---|
| トレーニング・認定の完了 | オンボーディング後30日 | パートナーとベンダーの育成担当 |
| 最初の共同マーケティング活動 | 45〜60日 | パートナーとベンダーのマーケティング担当 |
| 最初の案件登録 | 60〜90日 | パートナーの営業・CAM |
| 最初の案件成約 | 90〜180日 | パートナーの営業・CAM |
早期の把握と介入
稼働化の追跡は、手作業ではなく自動化すべきです。PRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)システムは、マイルストーンに遅れているパートナーにフラグを立て、パートナーが音信不通になる前に、パートナー担当者からの働きかけを促せます。パートナーポータルに30日間ログインしていないパートナーと、トレーニングは修了したものの案件を登録していないパートナーとでは、話すべき内容が違います。
パートナーの種類ごとの稼働化
パートナーの種類によって、稼働化の進め方は異なります。リセラーには、製品トレーニング、競合に対するポジショニング、価格設定が必要です。紹介パートナーには、シンプルなリード登録のプロセスと、紹介した案件が速やかにフォローされるという安心感が求められます。テクノロジーパートナーには、連携ドキュメントと共同ソリューションのメッセージングが欠かせません。すべてのパートナーの種類に同じ稼働化のプレイブックを当てはめると、大半のパートナーで成果が振るわなくなりがちです。
パートナーの稼働化とパートナーエンゲージメントの違い
稼働化は一度きりの移行です。パートナーが稼働していない状態から稼働している状態へ移ることを指します。一方、パートナーエンゲージメントは継続的なもので、すでに稼働しているパートナーが、時間をかけて関係に努力を注ぎ続けているかどうかを測ります。パートナーは、稼働化していても(半年前に案件を成約した)、エンゲージメントが低下している(その後は何も登録していない)場合があります。どちらの指標も重要ですが、問いが違います。稼働化は開拓への投資が実を結んだかを示し、エンゲージメントは関係が健全かどうかを示します。