パートナーマーケティングは、間接販売チャネルを通じてベンダー製品の需要を生み出す取り組みです。パートナーに向けて行うマーケティング(パートナーの開拓と関係づくり)と、パートナーを通じて行うマーケティング(パートナー主導のキャンペーンや活動で顧客に届ける取り組み)の両方を指します。
パートナーマーケティングの2つの軸
パートナーマーケティングは、対象が異なる2つの軸で並行して展開されます。ただし、どちらもパートナーエコシステムを通じて売上を生み出すという共通の目標を持っています。
パートナー向けマーケティング
この軸の対象はパートナー企業そのものです。目的は、ベンダーの製品、プログラム、商機をパートナーに知ってもらい、ベンダーのソリューションを売るために時間と資源を投じてもらうことです。パートナー向けマーケティングには、次のような活動が含まれます。
- パートナー開拓キャンペーン
- プログラム開始の告知
- 新製品の発表と営業担当者の育成(セールスイネーブルメント)資料
- インセンティブとプロモーションの周知
- イベントへの招待とウェビナーの登録
対象はチャネル内のパートナーで、目標はパートナーの関心を集め、行動を促すことです。
チャネル経由のマーケティング
この軸の対象は顧客ですが、実行はパートナーの現場で行われます。ベンダーがマーケティング素材、キャンペーンのテンプレート、資金を用意し、パートナーは素材を自社の顧客や見込み客向けにアレンジして展開します。チャネル経由のマーケティングには、次のような活動が含まれます。
- 共同ブランドのメールキャンペーン
- パートナーが実施するデジタル広告
- パートナーが主催する地域イベントやランチ&ラーン
- パートナーの発信網を通じて配信されるソーシャルメディアコンテンツ
- 共同ブランドのランディングページとリード獲得フォーム
対象は外部の顧客で、目標はパイプライン(案件の見込み)と売上です。
パートナー組織のマーケティング不足を補う
平均的なチャネルパートナーには、専任のマーケティング担当者がいません。チャネル経由のキャンペーンは、週30分しかマーケティングに充てられない営業責任者でも実行できるよう設計する必要があります。
Unifyrでパートナーマーケティングを簡単にする方法を見るベンダーは需要創出のため、直接のマーケティングに多額を投じています。しかし、売上の40%、60%、あるいは80%がパートナー経由で生まれている企業では、直接の需要創出だけでは通常足りません。パートナーは顧客により近く、ベンダーの本部のマーケティングチームには再現できない既存の関係、地域での信頼、業界の知見を持っていることが多いのです。
課題は、ほとんどのパートナーが本格的なマーケターではないことです。パートナーは営業志向の企業で、マーケティングキャンペーンを自前で回すための人員、予算、専門性が不足しがちです。パートナーマーケティングは、パートナーが最小限の手間で実行できる既製のキャンペーンを用意し、MDF(販促支援金)のプログラムを通じてベンダーの資金で支えることで、このギャップを埋めます。
パートナーマーケティングがうまく回れば、ベンダーの需要創出力はパートナーネットワーク全体に広がります。逆にうまくいかなければ、マーケティング素材はポータルの中で眠ったままになり、MDF資金は請求されず、パートナーはベンダーが売りたい製品より、売りやすい製品を優先するようになります。
取り組み領域と測定
中規模のベンダーでは、パートナーマーケティングチームが通常いくつかの取り組み領域を受け持っています。
| 取り組み領域 | 内容 | 指標 |
|---|---|---|
| キャンペーンキット | パートナーが最小限のカスタマイズで展開できる、共同ブランドに対応した既製キャンペーン(メール配信シーケンス、SNS投稿、ランディングページ) | パートナーの利用率、創出したリード数 |
| MDFプログラム | 承認済みのマーケティング活動のためにパートナーに割り当てる資金で、実施の証明に応じて精算されます | 資金の利用率、リード獲得単価 |
| パートナーコミュニケーション | パートナー全体に向けた定期ニュースレター、プログラムの更新、製品発表 | 開封率、エンゲージメント |
| イベント支援 | パートナー主催イベントへのベンダーの参加、または業界カンファレンスへの共同出展 | 影響を与えたパイプライン |
| コンテンツ配信 | パートナーの発信網を通じたベンダーコンテンツ(ホワイトペーパー、導入事例、ウェビナー)の配信 | ダウンロード数、登録数 |
MDFとパートナーマーケティングの関係は、見た目以上に密接です。ベンダーの立場から見ると、MDFを使ったパートナーキャンペーンと、本部主導で行うチャネル経由のキャンペーンは、同じ予算から支出され、同じ成果、つまり地域での需要創出を狙っています。違いは、実行の責任をどちらが持つかだけです。パートナー主導のキャンペーンにはMDFを、ベンダー主導のキャンペーンには本部のリソースを割り当てるなど、両者を調整しているプログラムは、重複を避け、カバレッジを最大化できます。
効果の測定
パートナーマーケティングのアトリビューションには、もともと精度の限界があります。パートナーがベンダー負担のメールキャンペーンを実施し、見込み客がクリックしたとします。3週間後、その見込み客は別の経路からデモを申し込みます。完璧なアトリビューションは不可能ですが、方向性がつかめる計測で十分です。
パートナーマーケティングの計測では、2つの階層で追跡する必要があります。第1の階層はパートナーエンゲージメントで、どれだけのパートナーが素材を使い、MDFを請求し、キャンペーンを実行しているかを測ります。第2の階層は顧客の成果です。パートナーが実施したマーケティングから生まれたリード、パイプライン、成約売上を測ります。この2つを結びつけるには、需要を特定のパートナー活動に紐づけるリード追跡の仕組みが必要です。
パートナーマーケティングとダイレクトマーケティングの違い
ダイレクトマーケティングは、ベンダー自身のチャネル(Webサイト、メールリスト、広告アカウント、イベント)を通じて顧客にアプローチします。パートナーマーケティングは、同じ顧客に対して、パートナーが持つチャネルを通じてアプローチします。メッセージは似ていることもありますが、実行の仕組みは根本的に異なります。ダイレクトマーケティングでは、ベンダーが実施時期、ターゲティング、クリエイティブを完全にコントロールできます。パートナーマーケティングでは、そのコントロールの一部と引き換えに、リーチと地域での関連性を得ます。