パートナー経由の利用量とは、パートナーを通じて購入した顧客が、ベンダーの製品やサービスをどれだけ活発に使っているかを測る指標です。サブスクリプションやクラウド型のビジネスモデルでは、収益が初期のライセンス購入ではなく利用量に結び付いていることが多いため、利用量は重要な指標になります。案件を成立させても、顧客の組織内で製品の定着を促せなかったパートナーは、長期的な収益を生まず、解約リスクを高めます。
販売後の利用量の追跡
利用量の追跡は、販売の成立後に始まります。ベンダーは顧客単位で利用データを監視し、そのデータを当該アカウントを担当するパートナーに紐付けます。具体的な指標は、製品の種類によって異なります。
- SaaS製品:アクティブユーザー数、機能の利用率、ログイン頻度、処理されたデータ量、API呼び出し数。
- クラウドインフラ:消費されたコンピュート時間、ストレージの使用率、デプロイされたワークロード、有効化されたサービス。
- サブスクリプションサービス:購入シート数に対する利用率、更新率、拡張収益、サポートチケットの傾向。
このデータはパートナー単位で集計され、利用量のプロファイルが作られます。顧客基盤全体で利用量が高いパートナーは、実際の定着を実現しています。一方、受注は多いのに利用量が低いパートナーは、販売は効果的でも、顧客の教育やカスタマーサクセスの面で不足があるといえます。
利用量のライフサイクル
利用量は、販売後に予測可能な推移をたどります。
- オンボーディング:顧客が初期導入を始めます。組織が環境を構築し、連携を設定し、ユーザーを教育する段階のため、利用量はまだ低い状態です。
- 定着:顧客が本番のワークロードを動かし始めたり、より多くのチームに製品を展開したりするにつれて、利用量が伸びていきます。
- 拡大:顧客がユーザーを追加し、機能を有効化し、利用量を増やすにつれて、利用量が増加します。
- 更新:顧客が更新するかどうかを判断します。利用量が高ければ更新は容易ですが、低い場合はリスクのサインです。
パートナーはどの段階にも影響しますが、特にオンボーディングと定着の段階で大きな影響を与えます。この段階では、サービス提供と顧客の教育によって、製品が顧客の業務に根付くかどうかが決まるためです。
利用量は収益とリテンションの指標
多くのベンダーが従量課金型やサブスクリプション型の価格体系に移行した今、初回の販売は収益関係の入り口にすぎません。
収益の認識
従量課金型の価格モデルでは、収益は利用量に比例します。年間10万ドルの契約をまとめたパートナーでも、顧客が実際に消費したサービスが4万ドル分にとどまれば、期待された収益のごく一部しか生まれません。
更新とリテンション
利用量の低さは、顧客の解約を最も強く予測する指標として広く知られています。製品を使っていない顧客は更新する可能性が低いため、利用量を高く保つパートナーは、継続収益の基盤を守ることになります。
拡張収益
利用量の多い顧客は、アップセルやクロスセルの最も自然な対象です。現在の導入ですでに価値を実感しており、対象範囲の拡大にも前向きだからです。
パートナーの経済性
多くのベンダーは現在、パートナーインセンティブを受注の指標の代わりに(または加えて)利用量の指標と結び付けています。初回の受注に対してだけ手数料を得るパートナーには、定着を確保する動機がありません。インセンティブを利用量と結び付けることで、パートナーの利益とベンダーの長期的な収益がそろいます。
利用量を促すインセンティブとパートナー育成
利用量を重視したインセンティブへの移行
従来のパートナーの経済モデルは、取引のマージンや成約時の紹介手数料によって、初回の販売に報いていました。利用量を重視するプログラムでは、継続的な定着に報いるよう、インセンティブを設計し直します。
| インセンティブモデル | 仕組み |
|---|---|
| 利用量連動のリベート | 購入された収益ではなく、利用された収益の一定割合をパートナーが得ます |
| 定着のマイルストーン | 顧客が定められた利用しきい値(例:シート利用率80%)に達したときにボーナスを支払います |
| 更新ボーナス | 顧客の更新に対する追加のマージンや手数料です。更新は利用量と相関します |
| 利用量に基づくティア管理 | パートナーのティア昇格において、受注の指標と並べて利用量の指標を考慮します |
パートナーが利用量を促すための支援
パートナーが販売後の定着に影響を与えるには、支援が必要です。
- カスタマーサクセスのプレイブック:顧客のオンボーディング、ヘルスチェックの実施、拡大機会の特定を進めるための段階的なガイドです。
- 利用状況のダッシュボード:顧客の利用データを共有し、パートナーが関与を失う前に注意の必要なアカウントを特定できるようにします。
- 技術的なリソース:定着を妨げる複雑な導入や連携の課題に対して、ベンダーのソリューションエンジニアを利用できるようにします。
- 共同提供の枠組み:ベンダーとパートナーが共同で、顧客へのオンボーディングとパートナートレーニングを提供するための、構造化されたプロセスです。
よくある課題
- データ共有への消極性:ベンダーは、データの機密性や競争上の懸念から、詳細な利用データをパートナーと共有することに消極的な場合があります。ただし、利用データが可視化されていなければ、パートナーは利用量のギャップに対して行動できません。
- サービス提供力の不足:すべてのパートナーが、定着を促すための導入やカスタマーサクセスの能力を備えているわけではありません。ベンダーは、パートナー育成(イネーブルメント)プログラムを通じて、パートナー組織内にこうした能力を育てる投資が必要になることがあります。
- 帰属の複雑さ:同じアカウントに複数のパートナーが関わる場合(販売する者、導入する者、運用を管理する者がそれぞれ異なる場合など)、利用量の成果についてどのパートナーが責任を負うのかの判断が複雑になります。
- 立ち上がりの遅れ:販売後の利用量は緩やかに立ち上がるため、インセンティブモデルは、最初の90日間の低い利用量でパートナーを不利に扱うのではなく、この自然な立ち上がり期間を考慮する必要があります。